ラッセルを襲う「3つの試練」—アントネッリに対して手詰まりか? 最後尾スタート&旧仕様マシンで挑むシンガポールGP
GP通算8勝を誇るメルセデスのジョージ・ラッセルにとって、現在は不運とFIAからのペナルティが同時に押し寄せる試練の時となっている。しかし、ラッセルは決して諦めていない。前戦バーレーンGPの終盤、2位走行中だったラッセルはエンジンブローにより無念のリタイアを喫した。一人の不運はもう一人の幸運であり、チームメイトのキミ・アントネッリが2位フィニッシュを果たしたことで、タイトル争いの明暗は大きく分かれることとなった。
ラッセルに重なる「3つのペナルティ」
- 手中に収めていた18ポイントの喪失表彰台目前でのノーポイントにより、選手権首位を走るアントネッリとの差は84ポイントまで拡大。
- パワーユニット交換による最後尾スタートマレーシアでのエンジン破損に伴い新たなPUの投入を余儀なくされ、シンガポールGP決勝での最後尾グリッド降格が確定した。一方でアントネッリは予選上位からのスタートが見込まれている。
- 旧仕様(アプデ前)エアロパッケージの使用メルセデスは新アップグレードの理解を深めるため、シンガポールで2台の仕様分ける比較テストを決断した。アントネッリが新しい「EVOパッケージ」を継続使用するのに対し、ラッセルはマレーシアGP以前の旧仕様スペックで出走する。
アントネッリは「新パーツには確実に大きなポテンシャルがあると信じている。だから当然、僕はこの仕様で走ることを希望した」と語る。
ラッセル「バクーで勝ったマシン。ペナルティだとは思っていない」
興味深いことに、当事者であるラッセル自身はこの「旧仕様マシンへの戻し」を決して嫌がらせや罰だとは捉えていない。GP出場168回を数えるラッセルは、次のようにその裏側を明かした。
「実はマレーシアのレース前から、僕の方からこの議論(比較テスト)を持ちかけていたんだ。そしてエンジンブローでリタイアが決まった瞬間、チームに『シンガポールではもっとデータを集めるために仕様を分けて走るべきだ』とすぐに伝えたよ」
「アップグレードが機能していないという兆候があったわけではない。バクーで走らせたマシンは、ブダペストやザンドフールトと同じ仕様だった。バクーでは2位に0.8秒差をつけてポールポジションを獲得したが、ブダペストではトップから0.4秒遅れていた」
「僕が言いたいのは、マシンやライバルの仕様が一定であっても、今季のパフォーマンスの波は非常に激しく、決して珍しいことではないということだ。マレーシアでの僕たちの苦戦は、サーキット特有の要因によるものだと確信している」
「マレーシアでのレッドブルは今季のこれまでの展開から見ても予想以上に強力だった。マクラーレンやフェラーリとの比較で見れば、僕たちのペースは極端におかしいわけではなかったんだ」
「エンジン交換によるグリッド降格は、2つの異なる仕様を直接比較するには絶好の機会だ。それに、自分がバクーで勝利を飾ったあのマシンで走ることに対して、僕は完全に納得しているよ」
【関連記事】
