ハミルトン、2026年に復活できるのかF1関係者が語る期待と懸念「失うものは何もないが…」

2025年シーズン終了前から、すでに大きな注目を集めているテーマがある。それは、ルイス・ハミルトンが2026年にフェラーリで再び輝きを取り戻せるのかという点だ。

元F1王者ジャック・ヴィルヌーヴは慎重な見方を示す。

「たとえ来季ハミルトンが良くなったとしても、まだ問題は残る。彼はシャルル・ルクレールより速くなければならない。どれほど難しいことか、我々は見てきた」

元GPドライバーのラルフ・シューマッハは、フェラーリが将来的に若手へ舵を切る可能性に言及。現在フェラーリのジュニアとしてハースで成長中のオリバー・ベアマンの存在を挙げた。

さらに元世界王者デイモン・ヒルは The Times でこう語る。

「2021年アブダビの結末がハミルトンを狂わせてしまったように思える。適切なマシンがあればまだタイトルを獲れると信じているが、彼は今まさに全てを出し切る必要がある」

ヒルは続けた。

「彼には気の毒だ。彼は同情を求めないだろうが、もしかすると彼は受け入れなければならないのかもしれない──もうタイトルには届かないという現実を。おそらく来年が最後のチャンスだ。もし来季のマシンがダメなら、彼が続ける姿は想像できない」

一方で、「ハミルトン引退説」が飛び交う中、フアン・パブロ・モントーヤは否定的だ。

「ハミルトンは史上最も成功したドライバーで、誰に何も証明する必要はない。ただ1つ確かなことがある──彼は負けたまま舞台を去るつもりはない。フェラーリで流れを変えられると示したいし、それを誰より彼自身に証明したい。だから引退はしないだろう」

フェラーリの“開発停止”発言に、ハミルトン驚きの回答

アブダビでは、フェラーリのフレデリック・バスール代表が「今季は空力開発を早い段階で止めていた」と明かし、その心理的影響を軽視していたと認めた。

これに対し、ハミルトンの反応は多くを驚かせた。

「僕には心理的な影響はなかった。この判断は完全に正しかったし、僕自身が2025年の開発停止を強く推した。2026年に向けて遅れを取るわけにはいかなかった。今もそう思っている」

続けて、チーム状況について前向きな姿勢を示した。

「もちろん厳しくなったが、チーム全体が前向きで、全力で取り組んでいるのを感じていた」

現在のマシン世代について問われると、ハミルトンは率直だった。

「このウイングカー世代（2022年以降）で恋しくなるものは何もない。僕が経験した中で最も好きではないマシンだ」

来週にはマラネロのシミュレーターで2026年マシンを初めて本格的にテストする予定だ。

「より良いレースになるかは分からないが、悪く言うつもりもない。まだ違和感はあるが、ダウンフォースは減り、トルクは大幅に増える。ウェットでのドライビングは今よりもっと難しくなるだろう。全員にとって大きな挑戦だが、これもF1の一部だ」

タイトル争いへのコメント、そして「ハンターか？ hunted（追う側か、追われる側か）」

ノリス、フェルスタッペン、ピアストリの三つ巴決戦について質問されると、ハミルトンはこう答えた。

「アドバイスはない。彼らは僕の19人のライバルのうちの3人にすぎない。3人とも非常に落ち着いているように見える」

どちらが好みか──追う立場か、追われる立場か。

「ハンター（追う側）の方がはるかに楽だ。失うものがないことが多いからだ。トップに立ち、その立場を守らなければならない状況は、ずっと難しい」

2025年のハイライトは？

「初日だね。家族と過ごしたマラネロでの最初の日、チームと初めて会った瞬間、フィオラノでの初走行。どれも特別だった。これからもっと“最初の瞬間”を積み重ねたい」

残された“初めて”も多い──

フェラーリでの初表彰台、初優勝、そして“フェラーリでタイトルを獲る”という究極の目標。

2026年、ハミルトンは復活できるのか。

その答えは、マラネロで生まれる新しい赤いマシンに託されている。

【関連記事】

• 【アブダビGP】角田裕毅、メディアデーのコメントPart1
• 角田裕毅、レッドブル離脱前 アブダビ最終戦へ
• 【公式発表】角田、レッドブルレーシングのリザーブに就任―後任はハジャー
• レーシングブルズ、2026年はリンドブラッドとローソンを起用