【イギリスGP】フェルスタッペン、シルバーストンと2026年型マシンの相性を懸念─超高速サーキットが直面するエネルギーマネジメントの壁
F1の聖地シルバーストンで行われるイギリスGPを前に、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが、2026年型マシンが抱える根本的な問題を厳しく指摘した。
今週末の大きな課題となるのは、タイヤのデグラデーション対策に加え、前戦オーストリアGP以上に難易度が高いエネルギーマネジメントだ。
オーストリアのレッドブル・リンクは、強力なブレーキングゾーンが随所に設けられているため、MGU-K(運動エネルギー回生システム)を介して車載バッテリーへ効率よく電力を回収できるレイアウトとなっている。
一方、超高速コーナーが連続するシルバーストンでは、事情が全く異なる。フェルスタッペンはオーストリアGP前の段階ですでにシミュレーターによる事前走行を行っていたというが、彼の口から出たのは困惑の言葉だった。
高速サーキットで露呈する2026年型マシンの弱点
フェルスタッペンは、大好きなサーキットであるシルバーストンが、2026年型マシンの特性によって本来の魅力を失いつつあると語る。
「オーストリアの前にシルバーストンのシミュレーターに乗った。大好きなトラックだけど、正直に言って、走っている最中はただ笑うしかなかったよ。まるで全く違うサーキットを走らされているような感覚だったんだ。
シルバーストンは長いストレートがあるが、その先は減速の少ない高速コーナーばかりだ。それではバッテリーをまともに充電できない。そして充電できないまま次のストレートを迎えるため、放出する電力が残っていないんだ。これは全ドライバーにとって悪夢になる」
フェルスタッペンによれば、1周を通して十分なバッテリー残量を維持することはほぼ不可能であり、これまでシルバーストンで味わえていたドライビングプレジャーは大きく損なわれてしまうという。
電力切れが招くストレートでの失速
そして深刻なのは、電気エネルギーを使い切った瞬間、マシンが内燃エンジンのみの出力に頼らざるを得なくなることだ。電気アシストを失った2026年型マシンは十分な加速性能を維持できず、ストレートでも失速する場面が生まれる可能性がある。
「ステアリングを握っていて、完全に不自然に感じる。本来あるべき適切なギアチェンジすら周回の半分は実行できないなんて、僕に言わせればレースが目指すべき姿ではない。
問題は、シルバーストンという伝統的なコース特性と、この2026年型マシンのシステムが全く噛み合っていないことだ。ストレートの先に超高速コーナーが待っているレイアウトでは、回生が追いつかない。
その結果何が起きるか。かつて僕たちが全開で駆け抜けていたような場所で、電気エネルギーを充電するために、あるいは単純にパワーが足りなくなって、マシンが勝手に減速していくシーンを見ることになるだろう。これのどこがエキサイティングなんだ?」
これに先立ち、アストンマーティンと組むホンダ(HRC)のエンジニアからも、シルバーストンでは電力のデプロイメント管理が極めて難しく、ストレートで電力を使い切る状況を完全に避けるのは困難との見解が示されていた。フェルスタッペンの発言は、その技術的な懸念を裏付けるものとなった。
ドライバーのスロットル操作に加え、天候や風向きのわずかな変化によってもバッテリー残量は大きく左右される。かつて「F1究極の高速サーキット」と称されたシルバーストンは、2026年の新ハイブリッドレギュレーションの下で、全開で攻めるサーキットから、電力残量と向き合いながら走るコースへと姿を変えようとしている。その変化は、ドライバーだけでなく、F1というスポーツが目指すべき方向性そのものを問いかけている。
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