ライバルに危機感を与える革新的なRB20の設計とは

昨年、レッドブルのマシンはF1史上の成功記録を塗り替えた。しかし、今年も比較的少ない変更しか加えられていないと予想していた人は、今年のマシンについてよく知るべきだ。RB20は非常にアグレッシブなルックスで、2022年にチームが始めたボディワークのトレンドから大きく方向転換している。

ゼロサイドポッドに似た形状も全く異なる思惑

レギュレーション初年度にレッドブルが打ち出したコンセプトへと皆が収束していったときのように、レッドブルも大きな進化の一歩を踏み出したようだ。

まず、全体的に表面積を最小限に抑えたと思われるデザインの中で、最も特徴的なのは直立したラジエーターインレットだ。

形は2022年のゼロサイドポッドのメルセデスに似ているが、その使い方はまったく違う。旧メルセデスがサイドポッドをそぎ落とすために縦型インレットを採用したのに対し、レッドブルはサイドポッドを残し、縦型インレットでフロントに巨大なアンダーカットを与えた。

かつてのゼロポッド・メルセデスだけでなく、過去2年間のレッドブルともまったく異なる空力哲学のようだ。

ラジエーター技術の向上で可能になったデザイン

ラジエーター技術の進歩により、同じ熱放出能力であればクーラーの小型化が可能になっている。これに加えて、ラジエターを美しい複合カーブ形状にするレッドブルの能力(昨年のRB19ですでに見られた)により、RB20ではラジエーターをより低い位置に設置することが可能になった。

以前はセンターライン付近の高い位置にあったラジエーターエリアが低くなったことで、重心が低くなっただけでなく、チームはマシン全体の最適なレイアウトを根本的に見直すことができるようになった。

ラジエーターの高さが低くなったのに合わせて、インレットも低くなり、ボディワークのリップの上ではなく下に位置するようになった。しかし、水平インレットをより低い位置に設置すると、アンダーカット(フロアエッジに沿ってフロアディフューザーの外側に向かう気流を加速させる)のための貴重なスペースが奪われてしまう。縦型に変更することで、インレットを低くし、アンダーカットを強化することが可能になった。

ボディ後方にも大きな変更

ラジエーターから車体後方へと熱を奪う冷却風のルートは、非常に高いボディワークのショルダーによって示唆され、エンジンカバーとの間に窪みが形成されている(これも22-23年型メルセデスとの類似点)。その下のサイドポッドは、ほとんど古典的な翼型のような形状で、以前よりもはるかにボリュームが抑えられている。

冷却レイアウトの変更に加え、ラジエーターの配置変更と小型化により、リアアッパーボディワークは非常に短く、鋭角に傾斜してリアウィング前方に大きな空間を生み出している。その短い長さはサイドポッドとマッチし、ディフューザー周辺のエアフローを高めるために、より大きな容積を生み出している。

このボディワーク上部の抜本的な見直しは、すべて見えない部分であるアンダーフロアの性能を最大限に引き出すためのものだ。サイドポッド周辺とフロアエッジに沿ったより強力なエアフローによって、ベンチュリートンネルのジオメトリーも最適化された。

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