【バルセロナGP】ハミルトン、フェラーリで初優勝―涙の106勝目「夢がついに現実になった」
2026年F1第7戦バルセロナ=カタルーニャGP、ルイス・ハミルトンがついにフェラーリで初優勝を果たした。完璧な3ストップ戦略、絶妙なVSCのタイミング、そして王者らしい走りで106勝目を刻んだハミルトンは、チームに飛び込みながら喜びを噛み締めた。
選手権リーダーのキミ・アントネッリ(メルセデス)はレース終盤にフロントウィングの故障でリタイア。わずか3周前には2位に浮上していただけに、メルセデスにとってもアントネッリにとっても最悪のタイミングとなった。
レース展開

31℃(路面50℃)という灼熱の条件でスタートした66周のバルセロナGP。ハミルトンはメルセデス勢とは異なる戦略、つまり開幕からソフトタイヤを選択し、3ストップ作戦に賭けた。
レースは予想通りタイヤ摩耗との戦いとなった。スタート前から波乱の予兆があった。マックス・フェルスタッペンのエンジンが過熱、シャルル・ルクレールのフェラーリはクラッチ過熱、アントネッリのメルセデスはブレーキシステムに空気が入りペダルストロークが長くなるトラブルを抱え、3チームのメカニックが最後の整備に追われた。
ラッセルはポールからクリーンなスタートを切り、1周目を終えた段階ですでにハミルトンに1.2秒差をつけた。ハミルトン、アントネッリ、ランド・ノリスの順で続き、フェルスタッペンはノリスに激しくプレッシャーをかけた。アイザック・ハジャーはP6からスタートするも6位の最下位となるP14まで転落する最悪のスタートとなった。
レース序盤
ラッセルが落ち着いてレースをコントロールするなか、ハミルトンは12周目にソフトからハードタイヤへ最初のピットイン。翌13周目にラッセルも反応してピットへ。ラッセルはハード、フェルスタッペンはミディアムを選択した。アントネッリがリーダーに浮上したが、その後ピットを経てラッセルが首位を奪回した。
この段階でラッセルは無線でチームの戦略判断に異議を唱えた。ピットのタイミングがアントネッリに対して自分を脆弱にしたと訴えたが、チームからの返答はなかった。
ランス・ストロールは6周でギアボックス故障によりリタイア。ボッタスも16周で予防的措置としてピットへ戻り戦線を離脱した。

中盤(21〜43周)
17周目の順位はラッセル、ハミルトン、アントネッリ、ノリス、フェルスタッペン、ルクレール、オスカー・ピアストリの順。この時点でハミルトンはラッセルから1.8秒差につけていた。
28周目、フェラーリはハミルトンを再度ピットへ呼び入れ、ミディアムタイヤとフロントウィングの角度調整を実施した。ハミルトンはアウトラップでピアストリをあっさりオーバーテイク。3ストップ戦略を明確に選択したフェラーリに対し、メルセデスは2ストップで対抗する構えだった。
33周目、ラッセルがアントネッリから猛烈な追撃を受けながらも前を譲らず、一方でハミルトンは周回ごとに2秒速いペースでタイムを刻んでいた。元GP覇者のラルフ・シューマッハーはTV解説でこう述べた。「賢くない。ハミルトンがあれほど速いなら、メルセデスは時間を無駄にしている」
37周目、ラッセルがピットへ。アントネッリが一時的にリーダーへ。しかしアントネッリのピットストップがラッセルより遅かったため、コースに戻ると2台の順位はラッセルが前のままとなった。この時点でハミルトンが総合リーダーに浮上した。
VSCが勝負を決めた(41周目)
アロンソのアストンマーティンがターン9でストップし、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。レッドブルはすぐさまフェルスタッペンをピットへ送り新品タイヤに替えた。しかしフェラーリは1周待った後、ハミルトンを呼び込んだ。このタイミングが完璧で、ハミルトンはコース上のポジションを維持したままピットを終えた。
終盤の攻防と劇的幕切れ(44〜66周)
ハミルトンはこの後、誰も追いつけないペースでどんどんリードを広げた。しかしハミルトンに対し黄旗違反の調査が入り、一時チームに緊張が走った。現地時間16時10分ごろ、調査が取り下げられた。
後方では53周目にアントネッリがラッセルに対して激しくプレッシャーをかけ続けた。ノリスはアントネッリの黄旗違反(コース外走行4回以上)についてチームに報告、5秒ペナルティの可能性を示唆されながらレースは進んだ。

61周目、アントネッリはついにラッセルをオーバーテイクして2位に浮上。しかしその直後の63周目、アントネッリのマシンはフロントウィングの故障によりスピードを失い停止した。続いて同じ周に、ルクレールもパワーステアリングを失い「コントロールできない」と無線で訴えてグラベルへ。フェラーリはこの1周で2台を同時に失うという悲劇を経験した。ルクレールにとっては3戦連続のリタイアとなった。
ハミルトンはそのまま19.4秒差でチェッカーを受けた。2位ラッセル(メルセデス)、3位ノリス(マクラーレン)、4位フェルスタッペン(レッドブル)、5位ピアストリ(マクラーレン)という最終結果となった。
ハミルトンのコメント「夢が現実になった」

チームに飛び込んで涙を流したハミルトンは、まず表彰台でイタリア語でマラネロへの感謝を伝えた。「グラツィエ・ア・トゥッティ・ア・マラネロ!この夢を実現させてくれた皆さんの懸命な仕事に、心から感謝する。家族へ、愛している。ファンへ、僕が何者かを思い出させてくれてありがとう。これはあなたたちへの勝利だ!」
「2025年がこれほど難しかったとき、この夢ははるか遠くに消えかけていた。でも諦めなかった。多くのことを変え、多くの分野で成長した。そして世界で最高のファンたちが、辛い局面を常に支えてくれた」
涙をこらえながら続けた。「すべての勝利にそれぞれの意味がある。でも今日は、何か全く別のものだ。何年もフェラーリの赤いマシンが勝つのを見てきて、あれがどんな気分だろうと思っていた。今ここに立っている。信じられないほど感謝している」
「完璧な戦略、完璧なピットストップ、素晴らしいマシン——フォルツァ・フェラーリ!」

「2025年の苦労の後、どこからこの自信が来たか?ようやく自分自身を取り戻せた感覚がある。チームのために、そして自分自身のために、信じられないほど懸命に取り組んできた」
8度目の世界タイトルの可能性は?
選手権については笑顔で答えた。「やれることは全部やる。まだ終わっていない。でも今は、ただ幸せでいたい」
| 順位 | 号車 | ドライバー | チーム | ギャップ | 周回数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 44 | ルイス・ハミルトン | フェラーリ | 1:32:28.105 | 66 |
| 2 | 63 | ジョージ・ラッセル | メルセデス | +19.561秒 | 66 |
| 3 | 1 | ランド・ノリス | マクラーレン | +23.719秒 | 66 |
| 4 | 3 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | +40.497秒 | 66 |
| 5 | 81 | オスカー・ピアストリ | マクラーレン | +58.661秒 | 66 |
| 6 | 6 | アイザック・ハジャー | レッドブル | 1周遅れ | 65 |
| 7 | 10 | ピエール・ガスリー | アルピーヌ | 1周遅れ | 65 |
| 8 | 43 | フランコ・コラピント | アルピーヌ | 1周遅れ | 65 |
| 9 | 30 | リアム・ローソン | レーシングブルズ | 1周遅れ | 65 |
| 10 | 41 | アービッド・リンドブラッド | レーシングブルズ | 1周遅れ | 65 |
| 11 | 5 | ガブリエル・ボルトレート | アウディ | 2周遅れ | 64 |
| 12 | 55 | カルロス・サインツ | ウィリアムズ | 2周遅れ | 64 |
| 13 | 31 | エステバン・オコン | ハース | 3周遅れ | 63 |
| 14 | 11 | セルジオ・ペレス | キャデラック | 3周遅れ | 63 |
| 15 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | DNF | 62 |
| 16 | 12 | キミ・アントネッリ | メルセデス | DNF | 61 |
| 17 | 87 | オリバー・ベアマン | ハース | DNF | 60 |
| NC | 23 | アレクサンダー・アルボン | ウィリアムズ | DNF | 55 |
| NC | 14 | フェルナンド・アロンソ | アストンマーティン | DNF | 37 |
| NC | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | アウディ | DNF | 29 |
| NC | 77 | バルテリ・ボッタス | キャデラック | DNF | 15 |
| NC | 18 | ランス・ストロール | アストンマーティン | DNF | 5 |
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