【オーストリアGP】ハミルトン、フェルスタッペンの“押し出し抗議”に反論。裁定は「お咎めなし」の激闘
レッドブル・リンクを舞台に行われたオーストリアGP決勝で、フェラーリのルイス・ハミルトンとレッドブルのマックス・フェルスタッペンという、現代F1を代表する二大巨頭が再び火花を散らし会場を沸かせた。
バトルが勃発したのはレース中盤。5番手から猛追するフェルスタッペンが、3番手スタートから苦しいペースを強いられていた41歳のハミルトンを襲撃。ターン3で仕掛けたフェルスタッペンに対し、百戦錬磨のハミルトンは巧みなライン取りでターン4への下り坂で見事にカウンターを合わせる。
2台のマシンはサイド・バイ・サイドのまま高速のターン5を抜け、運命のターン6へとアプローチ。アウトサイドにしがみつくフェルスタッペンに対し、インサイドを死守したハミルトンがラインを主張した結果、スペースを失ったレッドブルのマシンはコース外のグラベルへと押し出され、激しい石礫の雨を降らせることとなった。
「完全にペナルティだ!」フェルスタッペンの激しい無線とスチュワードの判断
この攻防の直後、コクピット内で激高したフェルスタッペンは、すぐさまチーム無線を開いて不満を爆発させた。
「これは明確なペナルティだ。完全にコース外へ押し出された!」
レースコントロールおよび国際映像のモニターには、即座に「ハミルトンによるフェルスタッペンの押し出し疑惑」について審議を行う旨のメッセージが表示され、パドックには緊張が走った。しかし、スチュワードが下した結論は「お咎めなし」
ルール上の解釈として、バトルは極めてハードであったものの、現代のレーシングディスタンスの許容範囲内であるというジャッジだった。結果としてハミルトンは5位でフィニッシュし、グラベルを通過したフェルスタッペンはその後も衰えぬスピードで首位ジョージ・ラッセルの背後まで迫り、2位表彰台を獲得している。
「僕なら彼に対してそんな無茶はしない」ハミルトンが突きつけた厳しい現実
レース終了後、この一件とフェルスタッペンからのペナルティ要求について問われたハミルトンは、表情を変えることなく、冷静かつ痛烈な言葉でライバルのドライビングを分析した。
「マックスはアウトサイドから僕を抜こうと試みた。だけど、アウト側からワールドチャンピオンを追い抜くなんて不可能な話さ。
少なくとも、僕なら彼のマシンを相手にあんな外側から仕掛けるようなリスクは冒さない。自分のレーシングラインを維持できると期待する方がどうかしている。
コーナーのクリッピングポイントに達した時点で、彼のノーズは僕の後ろにあった。それは彼自身が一番よく分かっているはずだ。あの状況なら、おとなしくアクセルを戻しておくべきだったんだよ」
審議の結果はハミルトンの主張を裏付ける形となり、激しいコース上の小競り合いは「純粋なレーシングアクシデント」として処理された。しかし、かつてのタイトル争いを彷彿とさせる二人の因縁は、フェラーリの戦闘力不足という逆境のなかにあっても、一切薄れていないことを証明している。
次戦は高速サーキットの聖地シルバーストン。超高速コーナーでのラインの奪い合いが日常茶飯事となるイギリスGPを前に、ハミルトンがフェルスタッペンへ突きつけた「王者のラインの譲り方」という洗礼は、次なるバトルの前哨戦に過ぎないのかもしれない。
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