フェラーリ、マドリンクで『SF-26』を初ドライブ!厳格な規則の隙を突く「データ収集」の全貌
今年9月に記念すべき初のグランプリ開催を控えているスペイン・マドリードの新サーキット、マドリング。全チームが未知の領域として迎えるこの初開催サーキットにおいて、フェラーリがいち早くライバルに対して大きなアドバンテージを奪いに行く挙に出た。
フェラーリは、チームに許可されている年間2回の「フィルミングデー」の2回目をマドリードで実施。ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが、今年型の最新F1マシン『SF-26』を駆って、いち早くこの新設コースを周回したのだ。
走行制限は200km、特製デモタイヤ:それでも「実走」がもたらす巨大な価値
もちろん、レギュレーションの制限があるため、このマドリードで収集されたデータをそのまま鵜呑みにすることはできない。
FIAの厳格な規則により、フィルミングデーでの走行はピレリが用意するプロモーション用の「特殊デモ用タイヤ」に限定されるほか、1日あたりの走行距離は最大「200km」までに制限されている。
この貴重なマイレージで、最初にコースへ躍り出たのは直近のイギリスGPを制したばかりのルクレールだった。ルクレールは、IFEMA見本市会場の周辺に建設された全長5.416kmの特設サーキットを、F1マシンとして史上初めて走行するという記念すべき大役を担った。その後、チームメイトのハミルトンにステアリングが引き継がれ、2人はマドリードの感触を確かめた。
なお、F1ドライバーとしてこのコースを最初に走ったのは、実はルクレールではない。地元マドリード出身であり、現在はウィリアムズのステアリングを握る元フェラーリのカルロス・サインツが、今年5月にフォード・マスタングを駆ってすでにこのコースで激しい咆哮を響かせている。
一石二鳥の賢い選択:狙いは「シミュレーターの完全補正」
フレデリック・バスール代表率いるマロネロの陣営が、2回目のフィルミングデーの舞台にマドリードを選んだのは極めて賢いチェスの一手だった。
本来、フィルミングデーはチームが技術的なテストを行って不当な利益を得られないよう厳しく規制されている。しかし、未知の新サーキットにおいて、たとえデモ用タイヤであっても「本物のF1マシンが現地を走り、路面のアンジュレーションや縁石の形状、Gフォースのデータを持ち帰る」ことのメリットは計り知れない。
ここで得られた生データは、マロネロの本拠地にあるドライビング・シミュレーターの数学的モデルを極限までファインチューニングさせるために直ちに使用される。9月の本番を迎える前に、ハミルトンとルクレールはシミュレーター上で「限りなく実車に近いマドリード」を走り込むことができるのだ。
また、この走行はサーキット運営側にとっても最大の恩恵となった。F1グランプリの開催に向け、実際のF1マシンが走行した際の設備やシステムの挙動を初めてテストする絶好の機会となったからだ。そのため世界最古のF1チームであるフェラーリは、通常のグランプリ週末と変わらない大量のチームスタッフと機材をマドリードの現場へと持ち込み、運営側をバックアップした。
4月のモンツァに続く、戦略的な「2回目」の権利消化
今回のマドリード走行により、フェラーリは2026年シーズンに認められていた2回のフィルミングデーの権利をすべて消化したことになる。
1回目は今年4月、バーレーンGPとサウジアラビアGPの相次ぐ開催中止によってカレンダーに数週間の空白が生じた際、フェラーリはいち早く動き、イタリアの伝統モンツァ・サーキットで実施していた。このときもハミルトンとルクレールの2人が今年型マシンを走らせている。
他チームがシミュレーターの初期データ設定に頭を悩ませるなか、実走データを手に入れたフェラーリ。復活の狼煙を上げたハミルトンとルクレールにとって、9月のマドリードGP初開催は、最高の形でスタートラインに立てる舞台が整ったと言えそうだ。
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