ラッセル、アントネッリとの“コンマ5秒差”に大混乱。ドライビング修正を全否定も、チーム側とは謎の食い違い
伝統のベルギーGP、スパ・フランコルシャンで今季6度目のポールポジションを強奪し、またしても主役の座をさらっていったメルセデスのキミ・アントネッリ。その一方で、同じマシンを駆りながら0.5秒以上の大差をつけられて4番手に沈んだジョージ・ラッセルは、深刻なスランプと混乱の渦中にいる。
イングランド出身のラッセルは、なぜアントネッリがあれほどのスピードを発揮できるのかを必死に説明しようとしているが、その言葉は日を追うごとに矛盾を孕み、パドックに困惑を広げている。
事の始まりは木曜日のメディアデーだった。F1通算7勝を誇るラッセルは記者団に対し、「僕は今、自分のドライビングスタイルを改造しているところなんだ。新しいスイングに挑戦しているゴルファーのようなものさ」と語り、自身の走りに改善の余地があることを認めていた。
ところが、予選で手痛い敗北を喫した土曜日の夕方、彼の主張は180度反転した。
「原因は僕の走りではない」マシンのハード問題を主張するラッセル
「前戦イギリスGPが終わった時点では、僕とキミとのギャップはドライビングスタイルの違いにあると考えていた。だけど今、僕たちは最終的な結論に達したんだ。原因は走りにはない。
僕はQ3のアタック中、ストレートだけでキミに対して0.4秒も失っているんだ。 これは本当にフラストレーションが溜まるよ。FP2にいたっては、その差は0.7秒にまで広がっていた。チームは今、何が起きているのかを理解しようと死に物狂いで解析している。イギリスでは自分の走りのせいだと思ってスタイルを変えてみたけれど、何の解決にもならなかったからね。
僕は今でも、純粋な速さなら少なくともキミと同等かそれ以上で走れると信じている。だけど今の状況は、『片手を背中に縛られた状態でリングに立たされているボクサー』のような気分だ。とにかくここベルギーはこれで乗り切るしかない。次戦ハンガリーGPまでにチームが解決策を見つけてくれることを願うよ」
スパ特有の「エネマネ」の差か、それとも個体の不具合か?深まる謎
しかし、このラッセルの“悲痛な訴え”に対し、周囲のの見方は必ずしも一致していない。
元F1ドライバーで英Skyスポーツの解説を務めるカルン・チャンホック氏は、独自のインサイドラインから得た情報をもとに、ラッセルの主張に疑問を投げかける。
「私の情報筋によれば、キミはラッセルよりもコーナーからの立ち上がりで巧みにマシンに『勢い』を残すことができており、結果として電気エネルギーをより効率的にストレートへ繋げられている。だから直線が速いんだ。
だが、これはジョージの言い分とは真っ向から対立する。ジョージは行間を読ませるように『ドライビングに問題がない以上、自分の車にメカニカルトラブルがある』と暗示しているからね。この件に関しては、メルセデス側から公式な技術的見解を聞きたいところだ」
さらに事態を複雑にしているのが、チーム代表のトト・ヴォルフ氏のコメントだ。ヴォルフ代表は土曜日の予選後、短い言葉でこう突き放した。
「ジョージはコーナーでもタイムをロスしているし、ストレートでもかなりの遅れをとっている。現時点で、我々もまだ何が原因でこれほどの差が生まれているのかを特定できていない」
チーム代表は「直線だけでなくコーナーでも負けている」と指摘し、ラッセルが主張する純粋な直線パフォーマンスの不具合という説を暗に否定。2026年型マシンの生命線であるエネルギー管理を含めたドライビングの差である可能性を完全には排除していない。
急成長する神童の影で、突如としてマシンのブラックボックスに迷い込んだラッセル。このタイム差はドライバーの腕の差なのか、それともSF-26の個体に潜む「目に見えない欠陥」なのか。メルセデスのガレージ内に、不穏な空気が流れ始めている。
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