【サウジアラビアGP決勝レポート】フェルスタッペン、今季2勝目!
レッドブルのマックス・フェルスタッペンがサウジアラビアGPで圧勝し、タイトル防衛を有利に運んだ。
レース序盤にセーフティカーが導入され、ピットレーンではレッドブルがダブルスタックを敢行。
2位にはセルジオ・ペレスが入り、2戦連続のワン・ツーを達成した。ピット作業中にフェルナンド・アロンソの進路に飛び出したとして5秒加算のタイムペナルティが科せられたが、3位のシャルル・ルクレールとの差は十分だった。
ルクレールは4番手のオスカー・ピアストリを抑えて表彰台を獲得。ピアストリはルイス・ハミルトンをパスするために、レースの大部分を費やした。
【2024年 F1サウジアラビアGP 決勝 結果・順位表】
順位 | No | ドライバー | チーム |
1 | 1 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル |
2 | 11 | セルジオ・ペレス | レッドブル |
3 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ |
4 | 81 | オスカー・ピアストリ | マクラーレン |
5 | 14 | フェルナンド・アロンソ | アストンマーティン |
6 | 63 | ジョージ・ラッセル | メルセデス |
7 | 38 | オリバー・ベアマン | フェラーリ |
8 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン |
9 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス |
10 | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | ハース |
11 | 23 | アレックス・アルボン | ウィリアムズ |
12 | 20 | ケビン・マグヌッセン | ハース |
13 | 31 | エステバン・オコン | アルピーヌ |
14 | 22 | 角田裕毅 | RB |
15 | 2 | ローガン・サージェント | ウィリアムズ |
16 | 3 | ダニエル・リカルド | RB |
17 | 77 | バルテリ・ボッタス | ザウバー |
18 | 24 | 周冠宇 | ザウバー |
19 | 18 | ランス・ストロール | アストンマーティン |
20 | 10 | ピエール・ガスリー | アルピーヌ |
フェルナンド・アロンソは、チームメイトのランス・ストロールが7周目にバリアにクラッシュしてセーフティカーが導入されたため、アストンマーティン勢唯一の5位キープとなった。アロンソは後半、メルセデスのジョージ・ラッセルにプレッシャーをかけられ続けたが、ラッセルは最終的には6位でフィニッシュ。
オリバー・ベアマンはフェラーリのカルロス・サインツに代わってF1デビューを飾った。ベアマンは何度もオーバーテイクを繰り返す印象的なドライビングで7位を獲得し、初ポイントを獲得した。
ベアマンは集団をリードし、ランド・ノリスが8番手、ハミルトンが9番手でチェッカーを受けた。ノリスとハミルトンはともにミディアムタイヤで序盤のスティントを走り、レース後半にピットストップを行った。
ニコ・ヒュルケンベルグがトップ10に入り、ハースの今季初ポイントを獲得した。ケビン・マグヌッセンがヒュルケンベルグにピットストップを終えてコースに戻る際にスペースを与えるため、後続のドライバーを抑えるというチーム戦略にも助けられた。
アレックス・アルボンは、角田裕毅をオーバーテイクするなど、中盤の戦いで堅実な動きを見せたものの、11位でポイントを逃した。マグヌッセンが12番手。マグヌッセンには2度にわたって10秒のタイムペナルティが科せられた。
エステバン・オコンが13番手、角田が14番手につけた。ウィリアムズのローガン・サージェントが15番手、ダニエル・リカルドが16番手で続いた。
キック・ザウバーのバルテリ・ボッタスと周 冠宇のコンビはそれぞれ17位と18位でフィニッシュした。
ストロールは序盤のクラッシュでリタイアし、ピエール・ガスリーはスタート直後のフォーメーションラップでギアボックスの問題を訴えてリタイアした。
F1サウジアラビアGP【決勝】
金曜夜の予選でフェルスタッペンがジェッダ・コーニッシュ・サーキットでの自身初ポールを獲得し、ルクレールも5戦連続でフロントローに並んだ。
レースが始まる前、角田がピットレーンでノリスの進路に飛び出すというドラマがあった。また、FP3でフェラーリに乗り込む数時間前にサインツの代役として招集されたベアマンが、F1デビューを前にどのような心境なのかも大きな話題となった。
グリッドにマシンが集まり、タイヤブランケットが剥がされると、ベアマンとボッタスがソフトコンパウンドを履いている以外は、ほとんどのドライバーがミディアムコンパウンドでスタートすることが確認された。
スタートが切られると、フェルスタッペンが好スタートを切ってトップに立つ一方、ペレスはルクレールと2番手争いを繰り広げ、最終的にルクレールがターン4でポジションを確保した。さらに後方では、ルーキーのベアマンが快調なスタートを決め、角田をオーバーテイク。
一方、ピアストリは2周目にアロンソの前に出て、アルピーヌはフォーメーションラップでギアボックスの問題を報告していたガスリーが最初のリタイアとなった。
4周目にはペレスがルクレールをかわして2番手に浮上した。そのほか、マクラーレンのノリスが6番手から順位を上げなかったにもかかわらず、ラッセルはノリスがジャンプスタートを決めたかどうかを疑っていたことがリプレイで明らかになった。
一方、ノリスのチームメイト、ピアストリはアロンソを追って4番手をキープ。
アロンソと同じアストンマーティンのドライバーであるストロールは運がなかった。このストロールは7周目のターン23でウォールに接触してバリアにクラッシュし、セーフティカーが導入される前にイエローフラッグが提示された。幸いストロールは無傷だった。
ピットレーンでは、レッドブル勢、ルクレール、ピアストリ、アロンソなど複数のマシンがハードタイヤを装着するためにピットストップを行った。ノリスとハミルトンはそれぞれのガレージでダブルスタックを避けるためにピットストップを行わなかったようだ。周とヒュルケンベルグもコース上にとどまった。
アロンソがペレスと接触しそうになったことを無線で伝えるなど、ピットレーンでの慌ただしい状況は、いくつかのトリッキーな瞬間の火種となったようだ。コースに戻ると、9周目にセーフティカーが導入され、トップのノリスがフェルスタッペンを抑え、ハミルトンが3番手をキープして再スタートした。
さらに後方では、ベアマンが角田をオーバーテイクして11番手につけ、マグヌッセンはオコンとアルボンとのバトル中にコースアウトするアクシデントに見舞われた。このアクシデントは、マグヌッセンが衝突を引き起こしたとして、すぐにスチュワードによる調査が行われた。
12周目には、ペレスもアロンソのピットレーンでのアクシデントで調査を受けていることが発表された。一方、ペレスはフェルスタッペンがノリスの前に出てトップに返り咲くと、ハミルトンをパスして3番手に浮上した。
ベアマンはターン1で周を抜き去り、トップ10入りを果たした。同じフェラーリのルクレールはハミルトンを抜いて4番手に浮上した。
スチュワードの裁定は16周目に下され、ペレスにはアンセーフリリースを行ったとして5秒のタイムペナルティが、マグヌッセンにはアルボンと接触したとして10秒のペナルティが科せられた。
17周目にはピアストリがハミルトンをパスして5番手に浮上。その間にフェルスタッペンが5秒のリードを築いた。
ベアマンは20周目を過ぎたあたりで、9番手に上がろうとしているハースのことを指して「彼はすごく遅いよ」と報告。ターン1へ向かうと、フェラーリのベアマンはすぐにヒュルケンベルを抜き去り、ポジションを確保した。
ミディアムタイヤを履くハミルトンがピアストリをかわして5番手争いを続ける中、マグヌッセンが角田との12番手争いでコースアウトしてアドバンテージを得たとして、またもや10秒のタイムペナルティ。
ノリスもミディアムタイヤで見事な走りを見せ、4番手のルクレールからのプレッシャーを受けながらも25周目まで3番手をキープしていた。しかしレースが中盤にさしかかると、ルクレールの猛追にノリスはもう限界。
一方、12番手から16番手にかけては、マグヌッセンが角田、オコン、アルボン、サージェントを抑え込むかのような集団で、複数のマシンが入り乱れていた。ハースは、チームメイトのヒュルケンベルグがピットインするたびに10番手をキープできるように、後続を引き離そうとしているように見えた。
しかし、ハース勢の反撃は止まらない。角田はスリップストリームを利用してターン1でマグヌッセンをかわしたが、その後マグヌッセンがポジションを奪い返した。角田はこの乱戦でオコンにも順位を奪われた。角田はチーム無線で「危険なドライビングがあった」と報告している。
先頭集団では、フェルスタッペンは31周目までにペレスとの差を7秒に広げ、ペレスは3番手のルクレールに9秒のアドバンテージを築いた。
その他では、ノリスとハミルトンがミディアムコンパウンドで待機していた。ノリスはレースエンジニアから、ピットインに関して質問を受け、ノリスは少し自信がなさそうにしながらも、やってみると答えた。
マグヌッセンの後方では中団争いが繰り広げられ、フラストレーションの溜まったアルボンが角田をかわして14番手に浮上。ハースは11番手でコースに復帰し、チーム戦略におけるマグヌッセンの役割は成功したことになる。
ピアストリは35周目に再びハミルトンをパスしたかに見えたが、またしてもコースオフ。
しかし、37周目にハミルトンがピットストップを行ったことで、マクラーレンはようやくクリアな空気を得た。ノリスもその1周後にピットインし、ハードタイヤを装着してベアマンとハミルトンの間に割って入った。
カメラがフェラーリのガレージから見守るサインツを映し出す中、ノリスは周回を重ねるごとにじわじわと追い上げられるが、マクラーレンのドライバーはまずハミルトンを抑えることで精一杯だった。
ノリスはレースコントロールからも、ハミルトンの前のストレートでウィービングしていることを指摘されていた。一方、ラッセルは5番手争いでアロンソに迫っていた。
43周目には周にトラブルが発生。コース上で最後にピットストップを行ったキック・ザウバーの周がピットストップに手間取り、チームメイトのボッタスの後方に後退した。
レースが終盤に入ると、ベアマンはチーム無線でノリスが最後までに追いつけくかどうかを尋ねた。その通りだと答えられながらも、「最後まで最速のレースをするように」と励まされた。
ノリスはラスト数周まで差を詰め続け、50周中48周目には3秒以内の差に。一方、ハミルトンはノリスのDRS圏内から脱落。
前方ではペレスがフェルスタッペンのリードをわずかに縮めたが、チームメイトとの差は6.7秒。
このほか、比較的静かなレースを展開していたリカルドにもトラブルが発生。16番手を走行していたリカルドは最終ラップでスピン。
ノリスは小さなミスをおかしながらもベアマンに迫っていくが、その差はなかなか縮まらない。
トップでチェッカーを受けたのはフェルスタッペンで、ジェッダでの2勝目を飾った。2位にはペレスが続き、レッドブルはまたもワン・ツー・フィニッシュを達成。2024年のタイトル防衛に向けて、堅実なスタートを切った。
3番手のルクレールとの差は大きく、ペレスは5秒のタイムペナルティを受けながらもポジションをキープ。ルクレールは3位に留まったが、ファステストラップを獲得した。
一方、アロンソはレース終盤のラッセルのプレッシャーに耐えて5位でチェッカーを受け、ラッセルは6位でチェッカーを受けた。
ベアマンは7位でフィニッシュし、ルーキーながらポイントを獲得。ベアマンの父親はフェラーリのガレージから誇らしげに見守っていた。
8位にはノリス、9位にはハミルトン、トップ10にはヒュルケンベルグが入った。
アルボンが11番手、マグヌッセンが12番手で、オコン、角田、サージェント、リカルド、ボッタス、周が最終順位を獲得した。
序盤にクラッシュを喫したストロールとテクニカルトラブルでリタイアしたガスリーは、リタイアでレースを終えた。
【キーポイント】
フェルスタッペンは勝利の後、「チーム全体にとってはもちろん素晴らしい週末だったと思う。」と語った。
「もちろん、最後のスティントは少し長かったけど、セーフティカーが出たから頑張るしかなかった。最後の数周は、バックマーカーもいたし、タイヤが冷えていたから少し滑りやすかったけど、ペースが良かったからうまくコントロールできた。全体的にはとても満足している。」
【次戦】
次戦はオーストラリアGP。3月22~24日にアルバート・パーク・サーキットで開催される。
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