アロンソ「ストップウォッチが、自分が遅くなっていることを示していた」
フェルナンド・アロンソは、2年間の休養を経てF1に復帰した際、思いがけない現実を突きつけられたと明かしている。
アロンソがF1デビューを果たしたのは2001年。非力なミナルディでの参戦だったが、その才能は当時から際立っていた。2002年はルノーでリザーブドライバーを務め、翌2003年に正ドライバーへ昇格。チームは、その判断が正しかったことをすぐに証明する。
参戦2戦目で表彰台に上り、同年ハンガリーGPでは初優勝を達成。これが通算32勝のキャリアの幕開けとなった。2005年と2006年にはワールドチャンピオンに輝き、2007年にはマクラーレンへ移籍。ルーキーだったルイス・ハミルトンとの激しいチーム内争いの末、タイトルはフェラーリのキミ・ライコネンの手に渡った。
その後はルノーへ復帰し、フェラーリでは5年間で3度のランキング2位を記録。しかしマクラーレン時代の苦戦を経て、次第にF1以外のカテゴリーにも挑戦したいという思いを強めていく。

2018年限りで一度F1を離れたアロンソは、2年間の休養期間中に耐久レースへ参戦。WECでタイトルを獲得し、ル・マン24時間レースも2度制した。そして2021年、F1へ復帰するが、そこで直面したのが想定外の壁だった。
アロンソは『DAZN』のインタビューで、当時をこう振り返っている。
「F1に戻った時、自分は2年前に辞めた時と同じレベルにいると思っていた。でも、ストップウォッチは違うことを示していたんだ。タイムを見ると、数コンマ遅れていた。しかも、その数コンマをどうやって取り戻せばいいのかわからなかった。すでに限界で走っている感覚だったからね」
2年間のブランクによって、感覚や認知の部分が一度リセットされてしまったとも語る。しかし、そこで立ち止まることはなかった。
「ドライバーにエゴは必要ない。エゴは自分の成長を妨げるだけだ。でも、自信は必要だ。それも、揺るがない自信が。自信とエゴ、そのバランスを取るのはとても難しい」
現在はアストンマーティンで戦う44歳のベテランは、そうした自己分析と修正を重ねながら、再びトップレベルで走り続けている。
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