約12億円の落札!ゴードン・マレーの傑作「T.50」がオークションで快挙
北米で初となる「GMA T.50」のオークションが開催され、803万5,000ドル(約12億円)という驚異的な価格で落札された。ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)が手がけるこのマシンは、伝説のデザイナーであるゴードン・マレーが「究極のドライバーズ・スーパーカー」として生み出したものだ。今回の結果は、現代のコレクター市場におけるハイパーカーの圧倒的な価値を証明する形となった。
アナログへの回帰:T.50の正体
T.50の最大の特徴は、電動化やハイテク化が進む現代において、あえて「アナログ」を突き詰めている点にある。
- エンジン: コスワース製の3.9リッター自然吸気V12を搭載。12,100rpmという驚異的な高回転まで回り、90年代のF1を彷彿とさせる官能的なサウンドを放つ。
- トランスミッション: パドルシフトではなく、あえてHパターンの6速マニュアルを採用。
- 軽量化: 車両重量はわずか約1,000kg。これは一般的な軽スポーツカーに匹敵する軽さである。
- ファン・テクノロジー: 車体後部に巨大なファンを設置。1978年のF1マシン「ブラバムBT46B」から継承された技術で、空力パーツに頼らずに強力なダウンフォースを生み出す。
また、かつてのマクラーレンF1と同様に、運転席を中央に配置した「3座レイアウト」を採用している点も、このマシンのアイデンティティとなっている。
市場を揺るがす「新記録」
今回のオークションに出品された個体(シャシーNo.009)は、走行距離わずか30マイル(約48km)という極上車だ。ボディカラーは鮮やかな「リーフ・レッド」で、専用のラゲッジセットなどの付属品も完備されていた。
これまでの最高落札額は、昨年12月にアブダビで記録された563万ドルであったが、今回はそれを大幅に塗り替える803.5万ドル(約12億円)に達した。限定100台という希少性と、ゴードン・マレーの名が持つ圧倒的なブランド力が、この高値を支えている。
伝説を継承する一台
T.50は、現在数十億円で取引される「マクラーレンF1」の正統な後継者と目されている。アメリカでは通常の型式認定を受けていないが、希少車を対象とした「ショー・オア・ディスプレイ(展示・走行許可)」制度により、公道走行が可能だ。
今回の売上の一部は、カリフォルニア州の公的基金や自動車レストアを教える大学のプログラムへ寄付される。歴史的デザイナーの情熱が生んだ究極の一台は、投資対象としてだけでなく、自動車文化を支える象徴としてもその存在感を強めているのである。
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