ヴァスール代表「タイトルを語るな、それが今避けるべき罠だ」―ハミルトン勝利でフェラーリが踏むべき次の一歩
バルセロナ=カタルーニャGPでルイス・ハミルトンがフェラーリとして初勝利を飾った。赤いマシンで喜びをあらわにするスタッフたちの涙を横目に、スクーデリア・フェラーリのチーム代表フレッド・ヴァスール代表は浮かれることなく、次の課題を冷静に見据えていた。「タイトルを語ってはいけない。それがまさに今、我々が避けなければならない罠だ」
ハミルトン起用を疑問視する声への答え
2025年シーズン、ヴァスール代表は少なからぬ批判にさらされた。高額の複数年契約でハミルトンをフェラーリに引き入れた判断が正しかったのかどうか——ハミルトンが2025年を通じてチームメイトのルクレールにほぼ全ての指標で後れを取り、フェラーリが1度も優勝できなかったなかで、その声は大きくなり続けた。
しかしバルセロナ2026年の以降、状況は一変した。2024年のシルバーストーン以来、真の実力による勝利がなかったハミルトン(2024年ベルギーGPは、ラッセルの車両重量規則違反による繰り上がり)が、フェラーリで真っ先にチェッカーを受けた。
ヴァスール代表はこう語った。「チームにとっても、ルイスにとっても、そして工場で働く全スタッフにとっても、素晴らしい一日だ。彼らが狂ったように働いていることを常に念頭に置かなければならない。この勝利は、その唯一正しいお礼の形だ」
「モナコの2位、バルセロナの優勝—良い滑り出し」
ヴァスール代表はここ数戦のフェラーリの流れを前向きに評価した。「モナコでは素晴らしい2位を得た。そしてここで優勝した。昨日の予選では(ルクレールのQ3クラッシュがなければ)ポールを取れるペースもあった。欧州シーズンの幕開けとして、これ以上の入り方はない」
「バルセロナ勝者イコール年間最強は、今年は当てはまらない」
F1においてバルセロナは長年「リアリティチェック」の場とされており、ここで速いマシンは多くのサーキットでも速いという定説がある。過去25年間を振り返っても、バルセロナの勝者がシーズンのコンストラクターズ王者と一致するケースは多かった。
しかしヴァスール代表はこの定説を今年に当てはめることを慎重に退けた。「その傾向が過去25年で多くの場合当てはまったのは事実だ。ただ今年はそうではないと思う。2026年のパフォーマンスは、各チームがどう開発を進めるかによって決まる。力関係は2〜3レースごとに変わり得る。今日良いマシンを持てていることは機能しないよりはるかに良い。しかし我々にとって決定的なのは、次のレースウィークエンドに向けてさらに多くのパフォーマンスをマシンから引き出し続けることだ」
これは前半戦での目まぐるしいパフォーマンスの変動を踏まえた、現実的な分析だ。メルセデスが開幕から5連勝、フェラーリが大型アップグレードパッケージを投入して一気に逆転、レッドブルは中低速サーキットで好調だが高速では苦戦、いずれのチームも「完璧なマシン」を持ち合わせてはいない。
「タイトルを語ってはいけない。それが我々が避けるべき罠だ」
メルセデスのトト・ウォルフ代表が「フェラーリは今や本物のタイトル候補だ」とバルセロナの夜に発言したことについて、ヴァスールの反応は涼しかった。
「我々は近くにいる。しかしそれこそが今、我々が避けなければならない罠だ。タイトルを語ってはいけない。ドライバーたちに可能な限り最高のマシンを提供することだけに集中し、いかなる期待も気にしてはいけない。1レースずつ集中することが全てだ」
さらに組織としての在り方についても触れた。「次のレースでも今日と同じアプローチを維持しなければならない——細部への最大限の集中。今日勝利できたからといって、アプローチは変わらない。良い日も、さらには困難な日も、チームとして機能し続けること。それはここ数ヶ月、我々がそれほど強くなかった時期も変わらずやってきたことだ」
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