ルクレール、ハミルトンより「0.3秒」も遅い理由は“感覚のズレ”? 「ルイスは常に100%を引き出している」
イギリスGPの金曜日をを、文字通り「完全に支配」したルイス・ハミルトン。9度のイギリスGP制覇という前人未到の記録を持つハミルトンにとって、この高速サーキットがホームグラウンドであることは間違いない。
しかし、現在のハミルトンの爆発力は、単なる“地元のアドバンテージ”という言葉だけでは片付けられないレベルに達している。
直近のレースを見ても、ハミルトンがフェラーリのマシンを完全に手なずけている。モナコ2位、バルセロナ優勝、オーストリア5位に対し、ルクレールは泥沼の苦戦、モナコ・バルセロナでDNF、オーストリア8位を強いられている。現在、ドライバーズランキングにおけるハミルトンとの差は46ポイントまで拡大。そしてここシルバーストンでも、ルクレールは0.327秒という近代F1においては小さくないギャップをチームメイトに開けられた。
「去年までの『気楽さ』が今の僕にはない」
なぜ、ハミルトンより遅いのか? 短く言えば、ルクレール自身もその完全な解決策を見つけられずに模索している。スプリント予選を4番手で終えた後、ルクレールは極めて率直に現在の胸中を明かした。
「今まさに、ハミルトンとの差と全力で向き合っているところなんだ。
自分でもしばらく前からはっきりと自覚しているのは、今、コックピットの中で去年ほど『気楽に、リラックスして』ドライブできていないということ。
たとえ僕が限界までプッシュして、すべてのセクターを完璧にまとめ上げたと思っても、それは100分の数秒を削り取っているに過ぎない。その一方で、ルイスはマシンのポテンシャルをより頻繁に、高い確率で『100%完全』に引き出している。今の僕には、それが単純にできていないんだ」
SQ3で突如失われた“マシンとの対話”
カート時代から予選の一発の速さには定評があり、パドック随一の予選マイスターと称されるルクレール。その彼が自信を持ってアタックに入れない原因は、データに現れない「感覚」の領域にあるという。
「あらゆる部分を見直してハードワークしなければならないけれど、最も重要なのは『このマシンに対するフィーリング』なんだ。
その感覚が100%カチッとハマっていないと、本来のラップタイムを絞り出すことは難しい。自信を持って予選に臨み、マシンの本当の限界を攻めることができなくなってしまうからね。今の僕は、安定して100%の力を出し切ることにさえ苦しんでいる状態だ」
金曜日のシルバーストンでも、その感覚のズレがルクレールを襲った。公式リザルトが示す通り、SQ1(1分29秒380)とSQ2(1分28秒922)ではハミルトンに肉薄していたのだ。
「SQ1とSQ2まではトップにかなり近づけていたし、SQ3に向けてはそれなりの自信もあったんだ。
だけど、いざ最も重要なSQ3の最終アタックに入ろうとした瞬間、マシンに対するフィーリングを完全に失ってしまった。本来感じ取るべきマシンの挙動を、今の僕はうまく掴みきれていないんだ」
チームの躍進には驚き「ここまで他を引き離せるとは」
トト・ヴォルフ代表からコストキャップ違反の“匂わせ”を受けるほど精力的なアップデートを続けるフェラーリ。チーム代表のフレドリック・バスール氏は、この週末を前にメディアに対して期待値を低くコントロールしていたが、マシンの純粋な戦闘力はチーム側の予想を遥かに上回っていた。
「ルイスが今日ポールを獲ったことには、僕たち自身もものすごく驚いているんだ。
正直に言えば、今回の週末は前を走るライバルたちともっと大きなタイム差をつけられていると予想していた。だから、チーム全体として見れば、今回持ち込んだパッケージが機能して、大きく前進できたことは間違いないよ」
チームメイトが完璧な王者の走りで復活を遂げ、マシンのポテンシャルが証明されたからこそ、それを引き出せないルクレールの苦悩はより深くなる。
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