クリスチャン・ホーナーが語った、2024年にレッドブルが直面する3つの重要課題とは?

2023年の目覚ましい活躍から、レッドブルの行く末はどうなっていくのだろうか?

レースでは95.4%の勝利を収め、マックス・フェルスタッペンが全周回の75%以上をリードし、平均2.5秒という最速のピットストップを行い、400戦という少ないレース数にもかかわらずグランプリ通算勝利数ではウィリアムズにあと1勝と迫ったレッドブル。

しかし、チーム代表のクリスチャン・ホーナーにとっては、その功績に酔いしれている暇はない。王座を守るための準備に忙殺されているホーナーは、F1.comのローレンス・バレットに今年に向けてチームが直面する最大の課題について語った。

先頭を走り続ける

2023年、レッドブルは2年連続のコンストラクターズタイトルとフェルスタッペンによる3年連続のドライバーズタイトルをもたらす圧巻の走りを見せた。「100万年経っても想像できなかったことだ」とホーナーは言う。

「RB19のような圧倒的な強さを持つマシンで、昨年達成したことは、私たちが生きている間に再び繰り返されることはないだろう。」

ライバルチームたちは、記録的な24戦のカレンダーとなる今年のシーズンに向けて、そう願っているに違いない。

そうなるかどうかはまだわからない。レッドブルには勢いがあり、カレンダー上のほぼすべてのコースで他のどこよりも優れたマシンを所有している。その一方で、安定したルールのもとでは、理論上はライバルに比べ、より少ない利益しか得ることができない。そしてホーナーは後者の可能性が高いとしている。

「レギュレーションが安定すれば、われわれにとっての見返りは減るだろう。というのも、私たちは他のチームより早くカーブの頂点に立てたと思うからだ。」

「フィールドは収束していくだろうね。我々にとって、それが誰になるかはわからないけどね。マクラーレンなのか?フェラーリなのか?メルセデスなのか?僕たちの後ろではどんどん動いている。でも、それが(今年に)向けて私たちが十分に期待していることでもあるんだ。」

「年が変わると、常にリセットされる。来年になれば、RB19のようなクルマがもっとたくさん出てくると確信している。このビジネスでは、立ち止まっていると後戻りしがちだ。我々は他より早くそのカーブを上ってきたと思うが、収穫逓減の法則にはまっている。」

レッドブルはその成功ゆえに、風洞やCFD(数値流体力学シミュレーション)の走行回数に関してライバルに比べ不利な立場に置かれている。成績が良ければ良いほど、規則通りの走行回数は少なくなる。

そのため、レッドブルはかなり早い段階から今年のマシンに目を向けていたものの、ホーナーは開発へのアプローチ方法を適応させなければならないと感じているようだ。

「風洞の時間が足りなかったので、早めに移行したが、それでも多くのライバルたちよりも練習時間が少なかった。」とホーナーはコメントした。

「そのため、RB20ではRB19の長所を生かすべく、非常に倹約し、その時間をどこに使うかを選択しなければならなかった。」

「RB20は革命ではなく進化だ。このマシンはすべての領域が見直されていると思うし、自己満足は許されない。このマシンのテーマの進化なんだ。我々は車輪の再発明をしているわけではないからね。」

未来への準備

レッドブルがライバルに後れを取っている分野のひとつが風洞だ。ホーナーはレッドブルの風洞を “冷戦時代の遺物”と表現しており、「特に英国でよく見られるような寒冷地では効率が悪い」という。

そのため、テクニカルチームは開発の方向性を “選択的”にせざるを得なかった。F1史上最高のマシンであるRB19で彼らが成し遂げたことは、より印象的なものとなった。

特に、アストンマーティンやマクラーレンが最新鋭の施設に投資しているように、風洞は今後のF1開発において重要なツールとなるだろう。レッドブルは、これ以上遅れをとらないようにするため、特に風洞がレッドブルのものとなる可能性が高いことを考慮し、ミルトンキーンズのキャンパスの敷地内に建設され、ベッドフォードで使用している70年以上前の施設に代わる、独自の施設を発注した。

建設工事は今年着工し、2026年に完成予定である。ホーナーは2027年型マシン(このスポーツに復帰するフォードと共同で開発したレッドブル・パワートレインズのパワーユニットを搭載する2台目のマシン)がこの施設で走る最初のマシンになると語っている。

2022年に共同創設者でエナジードリンク会社のオーナーであるディートリヒ・マテシッツが亡くなった後でも、レッドブルがF1に長期的な未来を見据えていることのさらなる証明だ。彼らのミルトンキーンズ・キャンパスは成長を続けており、その規模は非常に大きくなっている。

「イギリスのキャンパスへの取り組みは並大抵のものではない。」とホーナーは言う。

「過去19年にわたって議論してきた最先端の風洞を持ち、(レッドブルの)パワートレインがどのような位置にあるのかの確認、3年以内に500人近くを採用、独自の製造能力を備えた最先端の施設の建設。これは株主による大規模なコミットメントであり、F1が成果を上げていることを示すものでもある。」

しかし、それ以上に重要なのは、このスポーツがエナジードリンクの収益に貢献していることだとホーナーは言う。

「F1の活動によって、我々は3億2,000万缶以上を売り上げた。」

「レッドブル・レーシングはレッドブルの売り上げとして、上位10位に入る貢献をしているだろう。」

フェルスタッペンのチームメイト

フェルスタッペンが2028年末までの契約を結んでいるため、レッドブルはドライバーのラインアップについてあまり心配する必要がない。

また、レッドブルにはダニエル・リカルド、角田裕毅、リアム・ローソンなど、レッドブルのドライバープールに所属する優秀なドライバーたちがいる。

そしてもちろん、昨年キャリア最高のランキング2位でフィニッシュし、レッドブル初のワン・ツー・フィニッシュを確実にしたセルジオ・ペレスを残すという選択肢もある。ホーナーは、ペレスが新契約に値することを証明できるかどうかにかかっているという。

「贅沢なのは、急ぐ必要がないということだ。」

「選択肢はいくらでもある。チェコは2024年のドライバーであり、我々が支持しているドライバーだ。彼が(今年)素晴らしい仕事をすれば、2025年まで延長しない理由はない。しかし、それは純粋に彼がシーズンの大部分で何を達成したかに基づくものだ。」

「チーム外からも多くの関心が寄せられている。だから、マシンの競争力さえあれば、すべてのオプションがどのようなものかをじっくりと検討できる贅沢な立場になれるんだ。」

ホーナーはフェルスタッペンのチームメイトであることは「精神的に非常にタフ」だと認めている。

しかし、フェルスタッペンがハイレベルなパフォーマンスを見せ、レッドブルがコンストラクターズチャンピオンシップ優勝の有力候補となるようなポイントの大部分をもたらしている一方で、フェルスタッペンのチームメイトも結果を出す必要があるとも彼は言う。

昨年はフェルスタッペンより290ポイント少ない285ポイントを獲得したペレスには、さらなるレベルアップが求められてる。

「2台のマシンを可能な限り接近させることは避けられない。」

「チェコのレースペースとレースがとても力強い場面は何度もあった。彼が冬の間に集中しなければならないのは予選でのパフォーマンスだ。彼は予選のアベレージを上げなければならないと痛感している。」

「彼は予選のパフォーマンス向上に集中していく。それが今年のために非常に重要なことだとわかっているだろうからね。」

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