アロンソ、2026年レギュレーション下のF1を完全否定─ドライバーの技術を奪う“バッテリー至上主義”
マックス・フェルスタッペンが3位表彰台目前でクラッシュし、キミ・アントネッリもトラブルに見舞われノーポイントに終わった波乱のイギリスGP。しかし、レース後に記者からの注目を集めたのは、44歳の最年長ドライバー、フェルナンド・アロンソによる2026年レギュレーションへの厳しい批判だった。
トレードマークともいえる険しい表情でマイクの前に立ったアロンソは、インタビューの冒頭から、今シーズン全面刷新された新世代F1への不満を隠さなかった。
「僕の意見を言わせてもらうなら、この週末にシルバーストンへ集まった何万人ものファンは、本当の意味での“本物のレース”なんて一本も観ていないよ」
ボタン1つで決まるオーバーテイクへの違和感
アロンソが特に問題視したのは、土曜日のスプリントレースで見られたオーバーテイクのあり方だった。内燃機関とモーターの出力比率が50:50となった2026年規定では、電気エネルギーのマネジメントが勝敗を分ける場面が増えている。そうした状況について、アロンソはドライバーの技量が以前ほど勝負を左右しなくなっていると指摘した。
「スプリントの映像をもう一度じっくり見返してみたんだ。そこで目にしたのは、ただ単に“相手よりもバッテリー残量が多いから”という理由だけで、ストレートで前の車をスイスイと追い抜いていくドライバーたちの姿だけだった。
あそこには、ドライバーとしての貢献なんて1ミリも存在しない。 ライバルをオーバーテイクするために、特別な才能なんて今のF1にはもう必要ないんだよ」
失われたブレーキング勝負や限界への挑戦
1950年にF1世界選手権がスタートした聖地シルバーストンは、コプス、マゴット、べケッツ、ストウといった高速コーナーで繰り広げられる大胆なオーバーテイクが長年ファンを魅了してきたサーキットだ。しかしアロンソは、現在のF1ではそうした駆け引きが失われつつあると語る。
「対戦相手よりもブレーキングを遅らせる必要もない。コーナーの外側から決死の覚悟で並びかける必要もない。そして、クラッシュするかもしれないというリスクを冒す必要すら全くないんだ。
ただ、コックピットにあるステアリングのボタンを一回押す。それだけでオーバーテイクが完了する。もちろん、自分のマシンに前を走るクルマよりも優れたパワーユニットが搭載されていることが前提だけどね。今のF1のバトルの本質は、本当にそれだけなんだよ」
2005年と2006年にルノーでチャンピオンに輝き、V10、V8、そしてハイブリッド時代までF1の変遷を最前線で経験してきたアロンソだからこそ、その言葉には重みがある。
今シーズンはメルセデスがバッテリーの信頼性に課題を抱え、マクラーレンもグリップ不足に苦戦する中、アストンマーティンも厳しい戦いを強いられている。そうした状況も背景にあるからこそ、アロンソの発言は単なる不満ではなく、2026年レギュレーションが目指す方向性とF1本来の価値観との隔たりを改めて問いかけるものとなった。
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