シーズン中にF1ドライバーが健康を維持する方法

2023年アブダビGPでシーズン2度目のトップ3フィニッシュを飾ったメルセデスのジョージ・ラッセルは、疲れが見えたのかコース上の表彰台に上がり、咳き込みながら表彰式に臨んだ。

レース後の記者会見でラッセルは、「この2週間は本当に体調が悪かった」と告白した。「まず、ラスベガスで大きな熱を出した。眠れなかったし、ひどい気分だった。それからひどい咳がずっと続いていた。車の中では毎ラップ咳き込んでいたけど、車に拘束されていると息ができないんだ。咳を出すために深呼吸することもできないから、常に咳が止まらなかった。かなり、かなり悲惨だったよ。」

ドライバーが病魔の餌食になるのは今に始まったことではなく、レーサーが病気と闘いながらもマシンをポイント圏内に持ち帰ったことは何度もある。F1のシーズン中、健康を維持するのは難しいことだ。しかし、F1パフォーマンスコーチのマーク・アーナルが説明するように、悪い虫を寄せ付けない方法はある。

「健康でいるためには、栄養が基本的な役割を果たす。免疫システムをサポートするという観点から、体が機能するために必要なものをすべて食べ物から摂取しなければならないからだ。ビタミンDは免疫系を最適に機能させるために必要な栄養素である。少なくとも北欧では、十分な日光を浴びることができない。」

キミ・ライコネンのパフォーマンスコーチとして20年間サーキットからサーキットへと飛び回ったアーナルは、免疫系のサポートは旅行中に特に重要だと付け加えた。

「空港を通過するときは、通常よりも多くの虫やバクテリアにさらされる。私は生化学者と一緒に座って、『よし、可能な限り最高の免疫系サポートサプリメントを作ってほしい。でも水分補給の要素も入れてほしい。脱水はフライトの大きな部分を占めるからね』と伝えた。」

「キミはそれを毎日飲んでいた。ジンジャーショットやウコンなど、免疫系を自然にサポートするものも摂っていた。空港に行く前に、キミは予防措置としてこれらのドリンクを飲み、フライトの途中で再びこれらのサプリメントを使い、水分補給と免疫系のサポートを維持するんだ。」

予防は到着ロビーだけにとどまらず、ドライバーの抵抗力を高めるためにホテルも利用したとマークは付け加えた。

「ジンジャー・ショットは、健康全般と免疫系をサポートする最も簡単なものなので、ホテルにはいつも用意があるかか帰任していたし、もし作り方がわからなければ、レシピを送っていた。そうやって、ドライバーが病気にならないような体制を整えたんだ。」

マークはまた、レース中のドライバーの食事も病気を防ぐために重要だったと言う。

「朝食には通常、複合炭水化物の良い供給源であるオーツ麦を食べるが、オーツ麦には免疫力を高めることが示されているβグルカンも含まれている。またβグルカンはキノコ類にも含まれている。繰り返しになるけど、免疫系を自然にサポートするポジティブな栄養をできるだけ体内に取り込んでもらおうとしているんだ。」

タイムゾーンを横断することもまた、シーズン中に衰弱する一因である。特にシーズン後半になると、長距離レースが目白押しとなる。免疫力が低下している時期に、体調を崩すことも多い。

「対処法?そうだね、3日前から目的地の時間帯に合わせることだ。6時間の時差がある場合、行く方向に体内時計をシフトさせることで、事前に3、4時間の時差をなくすことができれば、かなり楽になる。」とマークは説明する。

「東に行くなら、基本的には毎日1時間ずつ、早寝早起きをし、適切な時間に光を浴びる(朝はサングラスを避けながら明るい光を浴びる)。フライト中にいつ寝るかは、目的地の時間に合わせる。」

「朝ごはんを食べるべき時間に夜ごはんを食べたくはないから、食事のプランも重要だよね。体の調子が完全に狂ってしまう。水分補給や免疫系のサポートなど、さまざまな要素に目を向ける必要がある。」

「ドライバーにとっては、ファーストクラスのキャビンがあるのだから、少しは楽なのは確かだ。眠りたいときにはドアを閉めればいいし、より快適だ。トレーナーとしては、いつ眠るべきか、いつ起きて光を浴びるべきか、いつ食事をとるべきか、目的地の時間に合わせてガイドを与える。」

「オーストラリアはタイムシフトが極端だから難しいんだ。ミカ(・ハッキネン)のときは、夕方まで起きていられるようにヤラ川でボート漕ぎをしたものだ!水上や水中にいると、眠れなくなるからね。」

F1マシンを時速370kmで走らせ、コーナーによっては最大5Gの加速を受けることができるほどの体を作るためのマークの最後の秘訣は、適切な回復だ。

「健康でいたいなら、レースで受けた打撃を乗り越える時間を体に与えなければならない。リカバリーという側面は非常に重要だ。体が病気にならないようにするためなんだ。そして、それらすべてのバランスをうまくとることができれば、健康的なシーズンを送ることができる。」

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