メルセデス技術責任者のアリソン氏、アントネッリへのチームオーダー議論に言及「最優先はコンストラクターズ」
バルセロナGPでの劇的な勝利により、フェラーリのルイス・ハミルトンがドライバーズランキング首位を走るキミ・アントネッリの“最大の刺客”として浮上した。次戦オーストリアGPを前に、アントネッリは156ポイントで首位を維持し、ハミルトンが115ポイント、メルセデスのジョージ・ラッセルが106ポイントで続いている。
こうした状況を受け、専門家やファンの間では「勢いを増すハミルトンに対抗するため、メルセデスはアントネッリを“ファーストドライバー”として全面優遇するチームオーダーを発動すべきではないか」という声も上がっている。
この議論について、メルセデスの公式ポッドキャスト『Nu Silver Arrows Radio Show』に出演したテクニカルディレクターのジェームス・アリソン氏が、チームの方針を明確に語った。
優先すべきは片方ではなく2台の最大化
アリソン氏は、外部で語られる“特定のドライバーへの肩入れ”という見方に対し、チーム内部の価値観との隔たりを説明した。
「ファンは自分が応援するドライバーに感情移入するものだし、そのドライバーにトップに立ってほしいと願うのは自然なことだ。だが、チームの中で働くということがどういうことなのかを知れば、僕たちのメンタリティにおいて“特定のドライバーを優遇する”という発想そのものが、どれだけ価値を持たないか理解できるはずだ」
さらに、長年トップチームに身を置いてきた経験から、現場の文化についてこう続けた。
「もし幸運にもチームの一員として働くことができれば、瞬時にその文化が染み付き、片方を優遇するという考え方が組織の全員にとっていかに縁遠いことであるかがわかるだろう。パドックでそういった特定の噂を耳にすると、僕たちにとってはまるで理解できない外国語を聞いているかのような感覚に陥るんだ。
僕たちにとっての絶対的な利益は、2人のドライバーが揃って成功することだ。正直なところ、どちらが上にいくかはチームにとって完全にどうでもいいことなんだよ。僕たちが求めているのはすべてのレースでのワン・ツーフィニッシュであり、どちらが先かは重要ではない」
チームオーダーを認める条件
一方で、アリソン氏はチームオーダーを完全に否定したわけではない。その“唯一の例外”について、論理的に言及した。
「チームとして優先順位を決める唯一のタイミングがあるとすれば、それは片方のドライバーが数学的にチャンピオン獲得の可能性が消滅し、もう片方のドライバーが他チームのライバルと直接タイトルを争っているという局面に限られる。そのようなシチュエーションになって初めて、チームにはオーダーを発動する権利が生まれるんだ」
ただし、その段階に至るまでは両ドライバーを平等に扱う方針だという。
「最も重要なのは、ドライバーズタイトルではなくコンストラクターズタイトルだ。賞金を獲得できるとすれば、それはコンストラクターズの順位に基づいたものであり、ドライバーズの順位に対してはチームには1ドルも入らない。つまり、僕たちの関心はすべてコンストラクターズに向いており、その観点から見れば、どちらかを優遇することは全く無意味なんだ。僕たちは常に、2人のドライバーから最大のポイントを求めているんだよ」
【関連記事】
