【シガスポーツ独占インタビュー！】FIA会長スレイエム氏との対談、 F1モナコGPにて
モナコGPにて、私たちは国際自動車連盟（FIA）会長のモハメド・ビン・スレイエム氏に独占インタビューする機会に恵まれた。以下は、F1に関連するトピックに焦点を当てたショートバージョンのインタビュー内容である。
Q FIAの会長として、確固たる地位を築いたと感じていますか？
「そうは思っていません。FIAでは、スポーツを発展、成長させるために、常にやるべきことがあると考えています。なので、終わりはありません。1年5ヵ月が経ちましたが、これからも長い旅が続き、マラソンのようなものになると思います。」
Q 自身が就任してからのFIAの動きに満足していますか？また、5年後のFIAの展望について教えてください。
「私がFIAに参加した頃と比べれば、今日における結果は圧倒的に良くなっています。また、F1チームがFIAをどのように認識しているかという点でも、ポジティブな進展が見られます。」
「確かに、多くの課題が残っていますし、これからも課題がなくなることはないでしょう。」
「F1CEOのステファノ・ドメニカリは、FIAのような、より強力なレギュレーターを望んでいます。」
「私たちは一緒に巨大なチャンピオンシップを代表していますから、FIAは弱いと思われてはならないのです。資金面だけでなく、人手や時間の面でも多大な投資を行いました。私たちは正しい道を歩んでいると思います。」
Q 自身の視点から見て、責任は予想以上に大きいものでしたか？
「いいえ、簡単だと思ったことは一度もありません。私は、簡単なことが好きではない人間なので。簡単なことは退屈です。」
「そして、FIAを私が望むような場所に持っていくには、忍耐が必要な旅になります。長いマラソンだということは確かでしょう。ですが、私は結果に満足しています。時々、成長や発展に対して更なるスピードを求めることもありますが。速ければ速いほど良い、モータースポーツの出身ですから。（笑）」
Q F1というスポーツは、自身が望むところにありますか？それとも、まだこれからでしょうか。
「いや、まだまだです。もちろん、そうであってほしいとは思っていますが。1年かかるのであれば、他のことに挑戦するかもしれません。 FIAになると、管理者であったり、責任者であったりと、実に多くのことに責任を負わされます。決して容易ではありません。」国際自動車連盟（FIA）会長のモハメド・ビン・スレイエム氏
「常に進化、変化し続ける規制に対処する責任があるのです。広い視点から見たとしても、財政、政治的問題、経済的問題、技術、電子工学などが関わってきます。そして私たちは、受動的に変化が起こるのをただ待つだけではいけないのです。」
「時間があれば、私たちは現場に出て偵察します。私たちが改善できる部分はどこなのか。私たちのスポーツの性質が他のスポーツとは違うことは、皆さんもよくご存じでしょう。一つの小さな種目であるのに、他のどのスポーツよりもはるかに複雑なレギュレーションがあるのです。」
「例えば、ゴーカート。観客の目に映るのは、若いドライバーが運転するマシンだけです。しかし、細かく見ていくと、エンジン、ジオメトリー、燃料、排気ガスなど、これらすべてにレギュレーションがあるのです。」
「そして、トラックを見れば、そこには課題があり、そこでもまた、常に挑戦が続いています。私だけでなく、FIAの組織全体にとってです。」
Q 現代社会の進歩には、多様性が不可欠です。モータースポーツの中でも多様性は進んでいるのでしょうか？
「はい、もちろんです。FIAには、多様性を扱う専門の担当者がいるほどです。彼女は、すべてのクラブと連絡を取り合っています。私たちの最初のプロジェクトや、教育の側面に関してです。そしてまた、レースディレクターやスチュワードの進路に関してもです。」
「FIAでは、1つの情報源だけを頼りにすることはありません。私たちは、メンバー全員と関わり合います。そこに多様性が生まれるのです。」
Q FIAでの新しい”日常的”組織には満足しているのでしょうか？
「はい、この1年でやってきたことには満足しています。」
「というか、私自身を見れば、こんな小さなことにまで携わっていたのかと。」
「なぜかというと、FIAにとって何が必要なのか、どこが弱いのか、ということを詳しく知りたかったからです。こうしたことに関与しなければ、わからなかったでしょう。」
「例えば、私たちは一人用シートの設定を再構築してきました。今は、以前よりずっと良くなっています。以前は、ちょっと中途半端な感じでした。何かあったらどうしようという不安もありました。この例からもわかるように、私たちは常に先を見越して準備をしておく必要があるのです。」
「スチュワードや技術部門の判断は尊重しなくてはいけません。そして、一度新しい信頼感を築けば、彼らはレギュレーションを更新し、私たちには未開の領域に踏み込んでいきます。」
「これで、チームとしてどうすれば良いかわかる。代表のところに来なくてもいいんです。今、チームは問題があれば、すぐに部門に相談に行きます。しかし、それには時間も必要としますが。」
「実は、私たちはフォーミュラ・ワン・マネジメント（FOM）とは非常にうまくいっているんです。だから、スティーブ・ニールセンがいるのです。FIAに参加する前、彼はFOMで仕事をしていました。」
「どんな家族もそうであるように、課題は確かに残っています。しかし、私たちは常にこのスポーツのベストのために働いているのです。」
Q 少なくとも2つのチームがF1への参入を真剣に考えているようですが、F1への参入を希望するチームは増えているのでしょうか？
「参入を希望しているチームはいくつかあります。彼らが興味を示してくれるのは嬉しいことです。私たちはFOMやステファノ・ドメニカリと一緒に検討をしてきました。一緒に正当な調査を行うことは非常に重要です。」
「新しいチームを作るというアジェンダを既存のF1チームに押し付けることはできない、というのが私たちの意見です。それは彼ら次第なのです。」
Q 既存のF1チームの懸念は理解できますか？
「はい、理解しています。私たちFIAも懸念を持っています。F1への参加を真剣に希望する新しいチームに対応する場合、現行のレギュレーションに従わなければなりません。ただ、一部のチームが嫌がるからといって、正式な申請を打ち切るわけにはいかないのです。そうですね、新しいチームのF1参戦に対し、既存のチームが懸念することは理解できます。」
「しかし、それと同時に彼らにも、FIAの立場上、ルールを破ることはできないことを理解してもらいたいです。」
Q ホンダが2026年以降もF1に参戦することを発表しました。あといくつのエンジンメーカーがF１に参戦すると予想していますか？
「現在、F1には6つのメーカーがあります。エンジンメーカーが増えれば、より身近なスポーツになり、すべてのチームにとって様々なメリットが生まれるでしょう。」
Q 競争力をどのように評価していますか？また、F1の健全性、有効性についても教えてください。
「このスポーツは非常に健全です。強さから強さへと進歩しています。FOMと各チームは、FIAがスポーツ精神に関して最善を尽くしていることを非常によく理解してくれています。」
「FIAもまた、将来的にもっとより健全なものになると思います。強力なFIAは、FOMと手を取り合っているのです。」
Q パドックでマレーシアの王様を見かけました。F1におけるアジア・中東の発展をどのようにお考えですか？
「モナコGPでは、マレーシアの国王とホスピタリティエリアで会いました。今年マレーシアで開催されるFIAアジア競技大会について話をしました。」
「このプロジェクトには、23のクラブやスポーツ当局が参加しています。そして、100人以上のドライバーが参加する予定です。」
「マレーシアにとってF1は全く新しいことではありません。最高峰のF1レースの一つが行われた国ですので。マレーシアには美しいサーキットがあります。約4年間の問題を経て、スポーツの力（AAM）が戻ってきたことを、私はとてもうれしく思っています。」
Q 中国は3年間カレンダーから外れていました、中国に関しても教えてください。
「私たちはスポーツとモビリティの分野で多くのミーティングを行ってきましたが、まだ表面をかすめただけだと感じています。中国はFIAにとって非常に重要なプレーヤーであり、中国の方々も私たちの立場を理解しています。私たちはフォーミュラだけでなく、多くのモータースポーツ関連のトピックについても協力して取り組んでいます。」
「私たちはモビリティについて話しています。最大とまではいかないまでも、大規模なマニュファクチュアの国のひとつである中国と話をしているのです。」
「私たちは、中国にFIAの地域事務所を設立したいと考えています。中国は、モータースポーツとモビリティの両方に利益をもたらすことができるマニュファクチュアの中心地なので。」
「私たちの中国との計画は、F1レースをカレンダーに復活させるという短期的なものではなく、長期的な計画です。それは議論すべき多くのトピックの中の1つにすぎません。」
「彼らが進める手順、そしてFIAとの共同的な行動に非常に感銘を受けています。彼らはすでに世界評議会で代表をしています。中国の代表者は議員の席を持っています。中国では既にプロセスが進行中であり、私たちは中国と共に取り組んでいく手段を尊重しています。」
私たちは、このインタビューに応じてくれたモハメド・ビン・スレイエムFIA会長に感謝致します。
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