【アブダビ直前】ノリス、最大の試練へ“戦略論争”の中心で揺れるタイトル決戦
マクラーレンのランド・ノリスは、12月7日にF1史上35人目のワールドチャンピオンになるか、あるいは“最速マシンを持ちながらタイトルを逃す”厳しい現実を受け止めることになる。すべてがこの最終戦アブダビに懸かっている。
タイトル獲得の条件は明快だ。
ノリスが3位以内でフィニッシュすれば、マックス・フェルスタッペンやオスカー・ピアストリの結果に関係なく初戴冠が決まる。
達成されれば、2021年のフェルスタッペン以来の新王者、英国勢としては2020年のルイス・ハミルトン以来、マクラーレンとしてはハミルトン以来の8人目の世界王者となる。
ヤス・マリーナに到着したノリスは、キャリア最大の週末を前に落ち着いて見える。しかしその裏では、並外れた重圧を必死に押し込めているようでもあった。

「準備はいつも通り」とノリスは言う。
「前回良かったところ、改善できるところを確認して、通常の手順で進めてきた。チームの準備もいつもと変わらない」
だが、もちろん“いつも通り”のレースではない。
注目の質問が飛んだ。
――もしレースでフェルスタッペンが先頭、ピアストリが3位、ノリスが4位を走行していたら? その場合、ピアストリはノリスに3位を譲るべきなのか?
ノリスの答えはやや不自然だった。
「そういう話はしていない。どう対応すべきか決めるのは僕ではない」
しかし実際には、その状況になれば“パパイヤ・ルール”が破棄され、チームはピアストリにノリスを前に出すよう指示すると見られている。タイトルが懸かる以上、選択肢は一つだ。
では、もしタイトルを逃せば、ノリスはどの瞬間が決定的だったと考えるのか。
「明らかなものはいくつかある。特にカナダのオスカーとの接触は痛かった。あれで多くのポイントを失った。それに不運もあった。ザントフォールトのエンジンブローや、ラスベガスでの失格もドライバーにはどうしようもなかった」
それでもノリスは責任を受け止める。
「最終的にタイトルを獲れなかったなら、自分の仕事が十分ではなかったということ」
史上最も熾烈な三つ巴タイトル戦のラストバトル。
ノリスは、自力で栄冠を掴む最後のチャンスへ向かう。
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