ラッセルが明かすハミルトン復活の技術的背景。“フェラーリの本物度”を測る重要な指標に
前戦バルセロナGPは、メルセデスのジョージ・ラッセルにとって、今季2勝目を確信できる最高の舞台になるはずだった。見事なドライビングでポールポジションを掴み取り、決勝でも絶対的な優位に立っていたからだ。さらに、激しいバトルを演じていたチームメイトのキミ・アントネッリが、終盤にバッテリートラブルで無念の戦線離脱を喫したことも、ラッセルの勝利をお膳立てしたかに見えた。
しかし、66周の過酷なレースを終えて最初にチェッカーフラッグを受けたのは、かつてのチームメイトであるルイス・ハミルトンだった。7冠王者はフェラーリの赤いレーシングスーツをまとっての記念すべき移籍後初勝利を飾り、ラッセルは2位に甘んじる結果となった。
チーム代表のトト・ヴォルフが、この結末を「厳しい現実を突きつけられた」と振り返ったのを受け、ラッセルもレッドブル・リンクのパドックでその技術的な背景と危機感を率直に認めた。
ラッセル分析「フェラーリのシャシーは常に良かったが、今回はパワーが違う」
「トト(ヴォルフ代表)の言う通り、バルセロナは僕たちにとって間違いなく『リアリティチェック』になった。というのも、これまでフェラーリは常に優れたシャシーを持っていたけれど、パワーユニットに関しては僕たちよりも一歩遅れをとっていたからだ。
しかし、彼らがバルセロナに持ち込んだ新しいアップデートは、ストレート上でのスピードがこれまでとはまるで違っていた。直線で信じられないほどのステップアップを果たしており、以前よりも遥かに速くなっていたんだ」
ラッセルは、フェラーリの開発スピードに強い警戒感を示す。
「彼らはアップデートを投入するたびに、確実に前進を遂げている。だからこそ、超高速セクションとストレートが組み合わさったオーストリアGPの週末は、フェラーリのあの速さが本物なのか、あるいはバルセロナというコース特性による一過性の例外だったのかを見極める、極めて重要なバロメーターになるだろう」
「ハミルトンは一晩で速さを忘れるような男じゃない」
かつてメルセデスでパドックを共にした大先輩ハミルトンの復活勝利について問われると、通算4勝を誇るラッセルは敬意を表した。
「ルイスが再びトップに返り咲いたのを見るのは素晴らしいことだ。彼は自分の一番得意な仕事をしたまでさ。そしてF1というスポーツは、マシンや環境のすべての要素が完璧に噛み合ったときに初めて、ドライバーが持てる最高の能力を引き出せるのだということを改めて証明してくれた。
昨年、世間の人々は彼を『もう終わったドライバー』だと簡単に片付けようとしていたけれど、彼はこうして全盛期の輝きを保ったまま戻ってきた。ドライバーというのは、一晩でトップフォームでの走り方を忘れてしまうような生き物じゃないんだよ」
アントネッリ、ハミルトンとの三つ巴の戦いへ「カート時代を思い出す」
トト・ヴォルフ代表から「他チームからのプレッシャーがある場合はバトル禁止」という明確なチームオーダーの条件を突きつけられたメルセデス陣営だが、ラッセル自身のモチベーションは最高潮にある。
「今のルイスとフェラーリが僕たちにとって本物の脅威であることは間違いないし、チームメイトのキミ(アントネッリ)も同じように強力なライバルだ。
だけど、彼らの存在によって僕がナーバスになることは一切ない。むしろ、これほど興奮することはないよ。僕は純粋な競争が大好きなんだ。子供のカート時代を振り返っても、コース上には常に倒さなければならない複数の強力なライバルたちがいた。最高峰のF1もそうあるべきだし、現在の状況はまさにそれだ。だから僕は今、この厳しい戦いを心から楽しんでいるよ」
【関連記事】
