【イギリスGP 決勝】ソフトウェアエラーが招いた混乱─なぜSCフィニッシュに終わったのか
イギリスGPの決勝レース終盤、タイミング画面に「セーフティカー(SC)・イン・ディス・ラップ(SCはこの周でピットに戻る)」と表示された瞬間に、2021年アブダビGPを思い出したファンも少なくなかっただろう。しかし、期待された再スタートは実現せず、レースはSC先導のまま終了した。その背景には、ソフトウェアの表示エラーがあった。
終盤に起きた混乱
47周目、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが高速コーナー「ストウ」でクラッシュし、マシンはグラベル上でストップ。残り5周でSCが導入され、周回遅れ車両の追い越し手順が開始される。
その後、タイミング画面には51周目に「セーフティカー・イン・ディス・ラップ」と表示され、実況や観客の間では残り1周での再スタートが予想された。だが、直後に表示はSC継続へと切り替わり、レースはそのままチェッカー。フェラーリのシャルル・ルクレールが優勝を飾った。
FIAが誤表示の原因を説明

レース後、FIAは公式見解を発表した。
「SC規定の第B5.13.5条により、周回遅れ車両の追い越し手順完了後は、SCがさらに1周走行しなければならない。この手順はレースコントロールによって適切に実施された。『セーフティカー・イン・ディス・ラップ』という表示は、ソフトウェアエラーによる誤表示だった」
つまり、周回遅れ車両が隊列の最後尾へ復帰したあと、SCは規定に従ってもう1周走行する必要がある。この手順を終えた時点でレースはすでに52周の規定距離に達していたため、再スタートを行う余地はなかった。
また、F1では規定周回数を前提に各チームが燃料搭載量を計算しているため、レース距離を延長する選択肢はない。
再スタートが実現しなかった理由
シルバーストンは全長約5.9kmとF1開催コースの中でも長く、周回遅れ車両が隊列最後尾まで戻るのに時間を要した。そのため、一時は再スタートの可能性も見えたものの、最終的には残り周回数が足りず、SCを解除できなかった。
2021年のアブダビGPでは、周回遅れ車両の追い越し手順を短縮した結果、最終ラップでの再スタートが実現し、大きな議論を呼んだ。一方、今回のシルバーストンでは現行規定が厳格に適用され、その結果としてSC先導でレースが終了。そこへソフトウェアの誤表示が重なったことで、現場や視聴者に大きな混乱を招く結末となったのだ。
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