【ハンガリーGP】アストンマーティン“Bスペック”の現在地―ニューウェイ氏が語った復活へのロードマップとホンダとの絆
2026年F1第11戦ハンガリーGPの金曜日、アストンマーティンは前日にチーム首脳陣が説明していた通り、新型“Bスペック”パッケージの評価を本格的に開始した。大幅なアップデートが投入された「AMR26」は派手な結果こそ残さなかったものの、トップとの差を着実に縮める兆しを見せ、復活への第一歩を印象づけた。
アロンソが示した前進、トップとの差は着実に縮小

フェルナンド・アロンソはフリー走行1回目・2回目(FP1・FP2)の全プログラムを順調に消化。走行中にはディフューザーの一部が脱落するマイナートラブルに見舞われたものの、大きな影響はなく、FP2をキャデラック勢の間に入る19番手で終えた。
最速ラップとの差は約3秒弱まで縮小。アップデート投入前と比べると、およそ1秒の改善が見られた。予選に向けたシステム制御やセットアップの最適化が進めば、トップとの差を2秒以内までに縮めることが現実的な目標として見えてくるという。
この目標を達成できれば、新規参入のキャデラック勢を上回る戦闘力も視野に入る。わずか2週間前には考えにくかった水準まで、アストンマーティンは着実に歩みを進めている。

ピットでは、ボディワークやフロア、リア周辺に大量のグリーンのフロービズを塗布したAMR26のデータ収集に集中する姿が見られた。FP1とFP2を「データ収集とキャリブレーションに充てる」と説明していたマイク・クラック氏。ハンガリーGP初日は、その言葉通りの一日となった。
ストロールに試練―FP1でサスペンション故障、FP2は出走できず

一方、ランス・ストロールにとっては厳しい初日となった。FP1の走行中、リア左サスペンションの故障とみられるトラブルが発生し、スピン。赤旗が掲示された。
修復作業はFP2開始までには完了せず、午後の走行プログラムはアロンソ1台のみで実施されることとなった。
これについて、エイドリアン・ニューウェイ氏は、当該のサスペンションは今回のBスペック改修とは無関係だったことを明かしている。
「今回問題が発生したサスペンション領域は、Bスペックでの変更箇所ではなかった。ただし、その周辺のクラッディング(カウル類)などが異なるため、スペアパーツの在庫が非常に厳しい状況にある。その意味では、極めて予期せぬトラブルだった」
ニューウェイ氏が語った“Bスペック”の現在地

金曜日のパドックで大きな注目を集めたのは、Bスペック投入後初となるニューウェイ氏の記者会見だった。過度なアピールを避け、論理的かつ慎重な言葉選びで提示された内容は、チームの現状を冷静に切り取ったものだった。
暫定的な成果について
「データ上の暫定的な結果としては、有望なステップを踏めていると感じている」
パフォーマンスの目標設定について
「私は数値上の目標を設定することがあまり好きではない。それよりも、直面している課題を論理的に解決し、チーム全員を協力させ、強い組織文化を作り上げていくことの方に情熱を感じる」
Bスペックで最速マシンになれるか
「トップに立てるか? 残念ながらそれはないだろう。しかし、私たちが以前いた壊滅的な場所から考えれば、非常にいい前進をしていると確信している」
今週末の具体的なターゲット
「少なくとも1ポイント。そして、チームとしての品位を取り戻せることを願っている」
クラック氏が「両車完走」、ニューウェイ氏が「1ポイントと品位の奪還」」と、それぞれ現実的な目標を掲げたことは、アストンマーティンが短期的な成果にとらわれることなく、着実に歩みを進めようとしていることを示している。
ホンダとの連携強化

Shiga Sportsからの「アストンマーティンとホンダのパートナーシップ」に関する質問に対しては、ニューウェイ氏は最も重要な成果として両社の関係性の変化を挙げた。
「真の意味で大きな進展があったのは、“関係性”の部分だ。
正直に言って、惨憺たるスタートと呼ばざるを得ない状況から始まったプロジェクトだったが、その中に見出せるポジティブな側面――私は常に物事のポジティブな面を探そうとしているのだが――それは、ホンダとアストンマーティンが、非常に密接で強力な協力関係を築き上げたことだ。
我々はすべての側面において、この関係性を発展させ続けている。通常、組織間の関係性が改善されれば、それに伴って後からパフォーマンスもついてくるものだ」
ザントフォールトで開発第2フェーズへ
また、今回ハンガリーで投入されたパッケージはプロジェクトの第1段階に過ぎず、夏休み明けのオランダGP、イタリアGP、アゼルバイジャンGPにかけて、さらなるアップグレードが控えているという。
特にオランダ・ザントフォールトでは、ホンダが改良版パワーユニット(PU)を投入する予定となっている。ハンガリーでは空力パッケージを中心に評価し、ザントフォールトではPUを検証するという、夏休みを挟んだ2段階のアップグレード計画を進めていることを明らかにした。

なお、アロンソの2027年以降の去就やクリスチャン・ホーナー氏に関するパドックの噂については、「フェルナンドはチームに多大な貢献をしてくれており、関係が続くことに自信を持っている」「その件については何も知らない」と述べるにとどめた。
アストンマーティンのハンガリーGP初日は、Bスペックのポテンシャルと今後の課題を確認する一日となった。トップとの差は着実に縮まりつつあり、次なる焦点は土曜のフリー走行3回目(FP3)と予選、そして決勝でその改善を結果につなげられるかに移る。目標とする“トップとの差2秒以内”を実現できるかが、その進化を測る最初の試金石となりそうだ。
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